ムットン調査団124 天国と地獄(トイレ)

皆さんはトイレが我慢出来なくて大変だった経験がありますか?

大抵の人は何度もそういう経験があると思います。私も大人になってからも朝の通勤時間帯などに急にお腹が痛くなり、トイレに飛び込むと長い列でもう限界だと思いながら必死で順番を待ったこが何回もあります。

これは、ただただ辛いですよね、これからも、たまにあるかもしれません。

今回、話すのは私が中学3年の時の話です。

中学3年は高校受験を控えていますから、模擬試験も何度も受けることになります。

そんな何回か受けた模擬試験の中で忘れられない試験がありました。

何月頃かは覚えていませんが、いつものように模擬試験を受けに行ったんです。

会場はどこかの高校か大学だったのですが、どこだったかは覚えていません。

朝9時くらいに普通に一科目の試験が始まり、休憩が入り二科目の試験が始まりました。

二科目目が始まり少し経った時にお腹が痛くなりはじめました。

最初は、まだ少し痛い程度だったんで何とか次の休憩まで持つと思っていました。

しかし、時間がたつにつれて、だんだんお腹が痛くなってきて試験に集中できなくなってきたんです。

さらに時間がたち、これ以上が我慢できない限界が近づいていました。

もはや試験どころでは、ありません。時間的には、あと少し我慢すれば休憩になる時間でしたが、もうダメです。私は試験管にトイレに行きたい旨を言って教室をでました。

教室を出たあとは全力でトイレまで走り、個室に飛び込み、セーフでした。

いやあ安堵しました。あと少し教室を出るのが遅かったら本当にやばかったと思います。

すぐにチャイムがなり二科目目の試験が終わったことがわかりました。

私もトイレに入ったばかりでしたので、急ぐ必要はなかったので、もう少ししたらトイレを出ようと思いました。休憩中のトイレは込み合いますから、生徒がやってきたら長居は無用、すぐに出ようと思っていました。

休憩に入ったので生徒たちの、ざわめきが聞こえてきます。このトイレにもすぐに男子生徒がたくさん入って来るんだろうから、と個室の中で素早く身支度をしている、その時です。

トイレの中に響いた沢山の声が女子の声だったんです。

「えー、どういう事、一瞬パニックです。すぐにわかりました、私はトイレに飛び込むことだけに集中し、限界状態だったので女子トイレに入ってしまったんだ」

頭の中は真っ白です、あっという間にトイレの中は女子で超満員になった気配がします。

ヤバいと思ったんですが、個室の外は女子で埋まってしまい出れない状況になってしまいました。

すぐに飛び出すことも考えましたが、出た瞬間に女子の悲鳴があがり私は変態扱いで、へたをすれば残りの試験は受けられない。女子トイレから出てくるところを、自分の中学の生徒に見られたら、学校に戻ってからも変態扱いです。残りの中学生生活は変態男として過ごさなければなりません。

これは、まずい、出るに出れない状態になりました。

私の前後の個室は当然、女子が普通に使いますが私の個室は閉まったままです。

並んでいる女子がコンコンとノックをしてきます。ここでコンコンと返してもいいのですが、へたに返すと早く出てこいと催促されそうなので音を立てずに息を殺します。

扉の向こう側では、女子たちが「扉が閉まったままで壊れてるのかしら」とか「誰か入ってんじゃないの、迷惑だよね」とか言っており、断続的にノックが続きます。

「誰か入ってるかもしれないから、連絡したほうがいいんじゃない」などの声も聞こえてきます。やばい、やばい、絶体絶命です。

生きた心地がしないとは、このことです。

この状態で個室の中に男子がいるこがわかったら、その場の女子はパニック状態、私の頭の中はもっとパニックになります。同じ中学の女子が扉の前にいるかもしれないんです。

早く休憩時間が終わってくれと祈るような気持ちでした。こういう時って時間がなかなか過ぎないんです、とにかく辛抱しました。

10分くらいの休憩時間だったと思いますが一時間以上にも思える長い時間に感じました。

やっと休憩時間も終わりに近づき、トイレの中に静けさが戻ってきました。

でもまだ休憩時間です、ギリギリで女子が飛び込んでくることも予想されますから、まだ出るわけにはいきません。

チャイムがなり休憩が終わり三科目の試験が始まるのを確認してから、そーっと扉を開けて、トイレから出る時も廊下に人がいないのを確認してやっと安心しました。

遅刻ですので急いで自分の教室に戻り、無事に試験が受けられました。

お腹が痛くてトイレを我慢する時間も辛かったけど、女子トイレから出られない時間も辛かったですね。

辛さだけならトイレを我慢している時ですが、頭の中での辛さは女子が去るまでの時間ですかね。

あの時の焦っていた感情は今でもはっきりと覚えています。

女子トイレに飛び込むことは、もうしないと思いますが、人間は極限状態では冷静な判断や注意力が散漫になるので誰にでも起こりえると思います。

でも、女子トイレだと気づくまでのわずかな時間はギリギリ間に合った安堵感で地獄の我慢が解放されて天国に変わったんですが、一瞬で地獄に舞い戻ってしまいました。

天国と地獄は紙一重なのかもしれませんね。

人生、わずかな油断や一瞬のミスで天国にも地獄にも行くのかもしれません。

まあ天国や地獄が本当にあればですが。

天国が本当にあるのなら、いつの日かまた皆さんと天国でお会いできるのを楽しみにしています、でも私は天国にいけるのだろうか、神のみぞ知るですかね。

あと、この話は中学生の時だから、もしトイレに入っていることがばれても、まあ最悪学校で変態扱いで済みますが今、間違えて女子トイレに飛び込んでしまったら、警察に通報されて変態者として逮捕されそうです。そんなつもりじゃないと言っても通用しない気がします。その後で公務員は新聞に氏名が載ります、もう職場にはいられず退職になるかもしれません。新聞に名前が出ると住んでいる近所でも噂になり、いられなくなるかもしれません。

限界状態でも一歩間違えると大変なことになります。笑い話ではすまなくなりますので、ご用心されたし。んじゃね。