ムットン調査団145、形あるものいつか壊れる

各位

革靴を初めて履いたのは中学生になった時です。学生服に革靴というまあ当時の東京のスタンダードな恰好ですかね。

そして高校時代はリーガルのローファーしか履かなかった。新品に買い替えるたびにかかとの皮がむけて痛かった。リーガルの靴は何であんなに硬いんだろう。そのぶん丈夫だったけど。社会人になってからもリーガルのビジネスシューズにこだわっていて、リーガル以外は履きませんでした。40代くらいまではビジネスシューズはリーガル、オンリーでした、ある時そのこだわりがなくなったんです。

まあ、こだわりがなくなったのは靴だけじゃないですけど。

リーガルにこだわらなくなったら、楽になりました。他の靴はリーガルみたく硬くないですから、履き始めにかかとから血を出すこともないし、でも靴によっては慣れるまで、かかとの痛い靴もそれなりにあります。

リーガルの靴も革が自分の足に馴染んでくれば、履き心地は最高にかわるんですけどね。

一旦こだわりがなくなると、本革でなく合成皮革でもかまわなくなってきます。

まあ履ければ、いいか、みたいな感じです。重要なのは履き心地です、いかに楽に歩けるかが最も重要になります。

そんなわけで、通勤の靴は本革から合成皮革、黒のウオーキングシューズまでごちゃまぜに

履いています。常時4~5足の履ける靴を買って靴箱にいれあります、そのうちよく履く靴は三足くらい。

この他に、たまに靴の買いだめをして、しまっておきます。

さてここからが、本題です。

先日の休みの時に家の中を整理していたら、買ってから5年~10年くらいたった一度も履いてない靴がでてきました。いつ買ったのかは定かではありません。まあ合成皮革の安物のビジネスシューズです。

見た目は新品同様で黒く輝いていました。これは、まだ履けると思い箱から取り出してよく見ると、右の靴のかかと付近に一か所3ミリ四方で表面の合皮が剝がれ落ちている箇所が見つかりました。

うーんさすがに安物、劣化が始まり剥がれ落ちたのでしょう。

これは早晩、全体も剥がれ落ちるなと思いました。家族に見せたら、捨てたほうが良いとみんな言うのですが、なんか勿体ないじゃないですか。

剥がれ落ちた箇所をマジックで塗れば新品そのもの、問題なし。

フードロスならぬシューズロスを防げみたいな、環境にやさしい俺みたいな、いや、ただもったいないだけです。

昔の三輪田学園の生徒もみんな、ぼろぼろに擦り切れた三輪田のバックルがついたベルトしてたもんなあ。あの擦り切れベルトは味わいがあって良かったなあ、でも、あれは本革のベルトだから良かったのでしょう・・三輪田のベルトは知る人ぞ知るマイナーな話なので聞き流してください

話を私の靴に戻しますね。今のところわずかに合皮の剥がれが一か所ですよ。これはとりあえず、すぐに履いて、もっと剥がれ落ちるのかを見極める必要があると思い、早速月曜の朝にその靴を履いて出勤しました。履き心地は問題なし、どこも痛くならないのでまずは合格です。

職場に着いてから自席でじっくりと靴をみました。うーん、駄目ですね。

靴の両側の前のほうで歩くとしわになる部分が剥がれてはいないのですが、くしゃくしゃになっています。これは短期間で合皮が剥がれるのも時間の問題だとわかりました。

今日、この靴を履いて帰ったら捨てようと決めました。

家族の指摘は正しかったと言うことですね。

夜になり仕事も終わり、職場をでて駅に向かって100mくらい歩いた時です、左足が何かにからんだような強烈な違和感があり、まともに歩けません。

何事と思い立ち止まり靴底を見たら何と、靴底のソールが前の方だけくっついていて8割方、剝がれているんですよ。

「あちゃー」です。少し歩いたけれど、やはりまともに歩けません、歩くと取れた靴底がカタン、パタンと音がします。このまま家に帰るのは無理と判断し職場に戻ります。

ゆっくりゆっくりと、花魁(おいらん)が歩くような感じで靴底が、からまないように歩きました。すれ違った人から見たら私は変な歩き方をしながらカタン、パタンと音を立てて歩く変なおやじそのもです。やっとの事で自席にたどり着きました。

机の中からアロンアルファーを探しだしたんですが、一滴も出てきません。

入口が塞がって液が出てこない可能性もあるので。ハサミで真ん中から切断しました。

奇跡的にわずかに液体が残っているじゃありませんか。

わずかな液体を靴底に塗ります、全然たりないけど文句は言えません。

その後、体重をかけて直立で30秒、そーっと歩きます。

成功です、これで何とか家まで帰れそうです。

ただし、用心のためにビニール紐も1mくらい持っていきました。また接着面が剥がれたら、その紐で縛るためです。

安い靴は靴底を張り付けてあるだけなので、こんな事になったのでしょう。それなりの革靴なら接着剤で張り合わせの他に糸で靴底の周りが縫ってありますから、ここまで一気に剥がれることはないと思います。

さて、アロンアルフアでくっつけた靴で慎重に歩いて職場の最寄り駅まで着きました。下りでも階段は使わずエスカレーターを使い、雪道を歩くように上から着地しながら歩きました。一駅乗ったら乗り換えです、次の駅で改札をでて、乗り換え通路も無事歩けました。次の改札口を通り抜けたので、あとは少し歩いて電車に乗れば自宅の最寄り駅までは行けます。何とかなりそうだと少し安心したその時です。

左足がもつれました、「あちゃ~」また靴底が剥がれたんです。先程より歩きづらくなっています、壁際により靴底をみると、さっき剝がれた以上に剥がれたように見えます。電車のホームまでは、あと少しなのでここは、そのまま強行突破して最寄り駅に着いたらビニール紐で縛ろうと決め数歩、歩いたらまた別の違和感があり、なんだと思い靴を見たら、なんと靴底全てが剥がれたじゃありませんか。

あわてて靴底を拾い、カバンから取り出したビニール袋にしまいます。

そして、少し歩いてみます。「おっ、これは歩ける。」そのままホームまで行き、電車に乗ります。もし、誰かが後ろから私の靴をみたら左の靴はかかとがなくて靴底の色も肌色で変だとで思ったでしょう。

左足は右足と比較して靴のかかとの分だけ低いので、歩くと平衡感覚が少しおかしくなる感じでしたが何とか家までたどり着きました。

今回の教訓はなんだろう。安物買いの銭失いかなあ。

私は春にストレートチップの靴が必要になります、今回の教訓を頭に入れて、値のはった少し高い革靴を買うつもりです。猫に小判かなあ

今回の壊れた靴だって買ってすぐに履いていれば一年くらいは、問題なく履けたんだから必ずしも安物が駄目だと言う訳ではないんだよなあ。

標語「まだ買うな、靴の買いだめ、駄目のもと」、又は「靴は生ものすぐに履け、買ったままだと期限切れ」

どれもピンときません。

安い靴をすぐに履き潰し新しい靴に変えるか、高い靴を丁寧に扱い長く履くか。

みなさんは、どちらですか? なんか靴ではなく別のたとえにもなりそうですね。

それは何かって、そんなこと言えませんぜ旦那、まあみなさん適当に想像してください。

んじゃ またね