ムットン調査団132 はしぼう係長

各位

昨年の暮れに団長が腰を痛めて一週間くらい休んでいたことを、つい最近知りました。不覚にも団長の一大事を知らないでいたとは痛恨の極みです。

仕事納めの頃には職場復帰していたので気づきませんでした。団員諸君、今からでも団長はお見舞いを受け付けると言っています。果物や花などは一切いらないとの事です、「あとはわかっておろうな」との事です。

さて、話はがらりと変わりますよ。

私が教育委員会の課長の時の話です。次世代育成部門がまだ教育委員会に属していないで、次世代育成室として単独で独立していた時の話です。

次世代育成室長は部長級でその下に課長がいる組織です。

この課長は都から昇任できた管理職で非常に気の強い女性でした。

もしそのまま区に残っていたら誰かと双璧をなしていたかもしれません。

彼女は常に教育委員会を目の敵にしているような感じでした。毎回教育委員会の管理職との話し合いで、我々を激しく攻撃してきて凄い迫力でした。

当時の指導課長は話し合いが終わるといつも私に「彼女はひどい口のきき方だよね、ほんと許せない、今度あんな口のきき方をしたら、私がばしっと言いますよ」と毎回言うんですが、毎回彼女の迫力に押されて何も言わないので、私が教育を代表して彼女に反論するという状況が続いていました。

したがって、彼女の怒りは私が一身で受けることになりました。

このようなピリピリしている状況の中で、細かい話は覚えてないんですが私がX係長をつれて、彼女の職場に行き、組織の話をしに行ったんです。

用件を伝えたとたん彼女はものすごい大声で「大〇課長ひどいじゃないですか、そんな話聞けません」と怒鳴っているというか、わめいている感じでした。

とにかくでかい声でそのフロアー全体に彼女の声が響きわたり、まわりの職員もみんな固まってました。それでも、私としては、話し合を続けなければなりません。何せ相手は興奮してますから、なだめながら慎重に話しを進めました。

そんな時です、X係長も私を援護するために彼女に何か言ったんです。

すると彼女がX係長に対してこれまた大声で「あんたなんか、箸にも棒にも掛からない」って言ったんです。

すごい事を言いますよね。X係長は面目丸つぶれです。

しかし、ここまで言う人もそういませんよ。

管理職に「箸にも棒にも掛からない」なんて、もし言われたらショックですよね。

でも、この時X係長はショックを受けていないんです。その訳は後程書きます。

彼女は興奮状態なので、あまり長居は無用です、そこそこで切り上げました。

やれやれと思い職場に戻りました。

まあ、これだけなら、すごい迫力の課長がいたな、で終わったんです。

このあとX係長が私と一緒に職場に戻ってきたときにX係長が「彼女変なこと言ってましたよね、箸がどうしたとか棒がなんとか」

えっ、もしかしてX係長は知らないのか?

私は「X係長、箸にも棒にも掛からないって言葉をしらないんですか?」と聞いたら、わからないようだったので、すぐに教えたと思います。

その場にいた教育委員会次長が電子辞書で検索して、その内容をX係長に見せていました。

女性課長への怒りも吹っ飛び、みんな笑ってしまいました。X係長ナイスです。

この時から私はX係長を別名「はしぼう係長」とたまに呼ぶようになりました。

X係長はこう呼ばれるのは不本意だったと思いますが、まあ許せXよと言うところですかね。

その後、職場は別々になったんですが、私がある担当部長の時にX係長が管理職に昇任して出先の所長になり、また私の部下になったので今度は「かしぼう係長」を昇任させて「はしぼう所長」と、たまに呼ばさせてもらいました。異動で区役所内の課長になった時は「はしぼう課長」と。

本人はこの話の由来をされるのを嫌がっていたので、これを書くことは事前に本人了解はとっておきました。

Xさんの名誉のために言っておきますが、たまたまこの「箸にも棒にも掛からない」という言葉だけ知らなかっただけで他は普通に知っています。

Xさんが誰かなんて詮索しないで、そっとしておいてください。

PS、

憎めなかったS指導課長

S課長はまじめだったし、人あたりも柔らかく好印象でした。議会答弁をうまかったです。

でも先ほどの女性課長が怒鳴り込んでくる時など指導課の範疇の話なのに黙ってしまいます。

ある時、指導課に常連の激高する男性が来ました。指導課を見ると指導課長ほか指導主事が誰もいません。私の課の係長が対応を始めたので私は指導課長を探しました。すると指導課長と指導主事全員が教育委員会室で会議をしているので、私は「Sさん今、Sさんあてにお客さん来てますよ、うちの係長が対応していますが怒っているのですぐ来てください」と言ったら。Sさんが「今、急ぎでとても重要な話し合いをしているので抜けられないので悪いけど、そちらで対応してもらいたい」と頼み込まれました。

仕方がないので了承し、係長だけに対応させられないので私も入り、かなり長い時間、その人の対応することになりました。

だいぶしてからSさんは指導主事のみんなと席に戻ってきました。

そして、私は後日、指導主事の一人から、その時の真相を聞かされます。

あの日は常連の男性から指導課長に「今から役所に行くので待っているように」と電話があったそうです。すると、指導課長が指導主事全員に今から教育委員会室に移動して急遽会議をすると言って、みんなを連れて閉じこもってしまったというのが真相だったのです。

まあ、そこまでいくと怒れないですよ。まあSさんしょうがねえなあみたいな感じだったと思います。