ムットン調査団212(103、決算議会)

今頃、全国の自治体は決算議会の真っただ中だと思います、もちろんわが社もそうです。そんな訳で今回はちょうど一年前の決算議会の頃に作った文章です

各位

さて、議会は第三回定例会が始まりました。今定例会は俗にいう決算議会です。

管理職にとっては、決算議会と予算議会は報告案件がなくても、予算、決算の審議で質問が飛んでくるので、いつもより緊張する、気の抜けない議会になります。

前に書いた話を覚えていますか?人事課長の時に分科会で笑いを取れば総括質疑送りにはしないと言われ、笑いを取ったんですが総括送りとなりました。まあ遊ばれた、だけですね、議会は、そこまで甘くないということでしょう。・・この話もまたそのうち再掲します。

課長達は決算分科会までに自分の所管の事業等をしっかりと勉強します。

委員会が近づいて勉強を始めると、分からない事が次々でてきます。数字が合わなかったりすると、これは結構あせります。私がある課長の時の話です。

出張所長の時は議会答弁は、ほとんどなかったので、実質この課長の時が議会デビューのようなものでした。

決算審査の時は決算参考書、主要施策の成果、事務事業概要は決算の三種の神器のようなもので、これらの書類を課の庶務担当が作成した細かい決算資料と見比べていきます。

事務事業概要が完成するのは、かなり早い時期で、そんな早くから内容についての確認を私は、まずしません。・・・団長は確か目を通していたと思います。

決算が近くなると、あわてて事務事業内容も確認するんですが、この時に結構、間違いが見つかるんです。まあ小さい間違いは目をつむることもあったかな

でも、その年はビックリしたんです。その課はかなり多くの事業をやっていたのですが、夜に決算の勉強をしていたら、事務事業概要の中で私の課の部分で最初のページの事業の決算額が違っていたんです。

えっ、これまずいだろ。この時、課の中で残業していたのは私だけなので、すぐには確認できませんが他の資料と見比べれば事務事業概要の数値が間違っていることは、ほぼ確実です。

これは、修正テープを貼ることになるかな、いやいや、もうそんな事をしてる日数がなかったんです。分科会の二日前くらいだったと思います。

この間違いを一つ見つけたことでも、やばいと思うんですが、そんなもんじゃなかったんです。

次の事業を見ていたら、また決算額が間違っているんです。嘘だろ、これはやばい、

もしかしてと思い、後の数十事業を確認したら全部間違ってるんです。

血の気がひきました。えーこれは、やばいなんてもんじゃない。

とりあえず、他の場所には間違いがないかなどを夜遅くまで残り、チェックをしました。間違いは各事業の決算額のところだけでした。それにしても、これは最悪だ、ものすごく重い足取りで家に帰りました。

翌朝、事務事業作成担当者に「昨日、チェックしたら全ての事業の決算額が違っている、どういう事なんだ」と聞くと

担当者は「うちの課はここの数字は決算額ではなく3月末時点の数字を入れていますから、当然決算額とは数字が違ってきます」と言うのです。

私は、「そんな話、聞いたことないぞ」と言ったのですが「大丈夫です、間違っていません」と言うので、私は部の庶務担当者の所に飛んで行き、事務事業概要に載せる金額が決算値でなく3月末の金額でも良いのか確認しました。

部の担当者は「そうなんですよ、私も心配しています。そこに決算値をいれていないのは〇〇課だけですよ、」と言われました・・・知っていたなら私に伝えて欲しかったなあ。はい、私のいい訳ですよね。きっと部庶務の彼は私も当然そのことを知っていると思ったんでしょう。ただし、部庶務も本当に間違っているのなら当然、訂正を要求するんですが間違っている訳ではないので、そのままにしたという事です。ここに何の数字を記入するという決まりは当時はないんです、ただ、普通はみんな決算額を記入しているという事です。

現在の事務事業は予算額〇〇円。決算額〇〇円と表記されていますから、決算額を入れなければ駄目ですが、当時は金額だけが表記されていたので、決算額でなくても、苦しい言い訳はできたかもしれません。

自分の課に戻り担当者に「来年からは必ず決算値をいれるようにと指示を出しました、また決算値を入れていないのは、うちの課だけであることも伝えました。

自分で勝手な判断はしないで必ず上司に報告と相談をするように念を押しました。

まあ、その時は彼の指導はそのくらいにして、迫っている決算分科会をどうするかです。

さて、どうするかです。

1,今から頭を下げて、議員全部の事務事業概要に修正のシールを貼る。この場合全ての事業の決算値が間違っていることを白日のもとにさらすことになる。・・・これはさすがに時間的に出来ない

2,分科会で議員に指摘された時に、初めて金額の誤り?に気づいた事にして謝る・・・これだと何も勉強をしていない事になるので、何をしていたんだと怒られるから駄目だ。

3,議員に指摘された時、実は昨日の夜に気が付きました、時間的に訂正のシールを貼る時間がございませんでしたので、私の所管の審査の時に言おうと決めていました、先に指摘されましたが私もまさに今言おうと思っていたところでございます・・・最初はこの答弁でいくと決めていました。

・上記の3つの答弁だと間違えた数値ではないのに、間違えたと自分で認めてしまうことになるのでこの答弁はできません。となると、答弁は次の答弁でいくしかありません。

4,事務事業概要に載せる事業の金額に、3月末の数値を載せたのは必ずしも間違いと言うわけではございません。私の課では3月末時点での数値を表記しておりました。ここに、いつ時点での数値を載せるという決まりはございませんが、わかりにくいと思うので来年度からは決算額に変更いたします。・・・よし、これでいこう。間違いではないので、これしかありません。

さて本番です、ドキドキしながら分科会の開催です。私の課が部の中で、ぶっちぎりで質問が多いんです。

所管事務の中に、歩きタバコとポイ捨て禁止が注目されていた時期でした。過料徴収は始まって間もなくの時期でトラブルが多発、喫煙所の設置や道路に埋め込む歩きタバコ禁止のブロックや標識の作成、放置自転車対策で自転車の撤去、新たな駐輪場の設置、違法広告看板の撤去指導、道路や公園の監察、悪臭、振動、騒音、水質などの公害指導全般、地球温暖化及びヒートアイランド対策、打ち水大作戦はこの時に始まった。緑化対策、ISO、CESの構築など職員数が60人を超える大所帯でした。

環境全般は質問の的になるし、タバコも含め、質問が集中していました。当時環境土木部の予算と決算の分科会の時間の八割を私の課で費やされていました。

延々と終わらない、やり取りが続きます。この審査を無事乗り切り、かつ事務事業概要の件も乗り切る必要がありました。

長く感じました、終わらないんです私の所管事業の審査が、実際に私だけが何時間も質問を受けていましたから。予算も決算も私の課だけが毎回、何時間もかかるんです。

結果は、何とか乗り切れました。事務事業概要の数値についての指摘はありませんでした。ひやひやもんでした。もう20年前の話なので大目にみてもらいましょう。

こんなドキドキを管理職はかかえながら、今年も決算委員会に突入しています。

ドキドキはするんですが、残念ながら、ときめきはないんです。

区の未来を議員とともに、ときめきながら話し合える日が来たら素敵ですね。

そんな未来がいつか来るでしょう、その扉を開けるのは・・・・。