ムットン調査団139(82、偽善者)

各位

小学生の頃から、よく話をしたり、遊んだりする集団が定まっていなかったように思う。

今風に言えば全方位外交になるのかな。

おとなしくて、静かなグループから明るくて目立ってうるさい連中まで、どのグループの中にも入っていたと思う。

自分はどのグループに本来、いるべきだったんだろうか、居場所を探していたのかもしれない。

高校くらいになると、その集団ごとに話し方まで変わっていたと思う。

静かなグループの中では「うん、僕もそれでいいと思うよ、ただ少し面倒だね」と言ってたとすると。他のグループでは「俺もそれでいいぜ、けどかったるい」と言って、話す言葉や雰囲気まで変えていたと思う。

女性と会う時も同じで相手に合わせて違う自分がいたと思う。

普通にしゃべる女性には普通に話たけど、女性が「あたしさあ、まじ、こういうのかったっるいんだよね」みたいな女性には「それで、いいんじゃねえ、すきにしろや」とかったるそうに話してた。

どれが自分なのか、わからない。

そんな自分を自身は嘘ぽいとも感じてた。

感化されやすく、同化しやすいのかもしれない。友達が方言や特徴的な話し方をしていると、知らない間に自分の話し方がそうなっている事がよくあった。

その相手が好きか嫌いかは関係なく、無意識に取り込んでいるわけだ。

また、若いころ自分は偽善者だなあ、とも思っていた。

小学校の時、机は二人で一つの長机だった。何年生の頃かはよく覚えていないが、テストがあると成績は良かったので、まあ大体答えは合っている。

隣に座っている女の子が成績があまり良くない子だと、答えがかなり間違っているのが見える。当時の私はわざと答案用紙をその子に見える位置に置いて、さあこれ見て書けよと無言で促していた。

当然、その子は私の答えを見て書いていた。その時は私は自分の中では満足していたんでしょう。

何と上から目線、今思えば本当恥ずかしい行動です。

その女子には成績で絶対負けないから、余裕で見せているのであって、横にライバルがいたら絶対に見せないようにガードしていたと思う。

誰にでも見せるなら良いけど、私がとったこの行動は実に偽善的だと思う。

大学生の頃にこの時の事を思い出して、自分は偽善者だと思った。

だから、自分のことをヒポクリット大〇と自分自身に独り言を言っていた時期があった。

また、小学校の時、いじめられている女の子がいて多くの男子からほうきなどで追い回されていた。可哀そうだなと思っていた自分は、はっきり覚えているが、やめろとは言えなかった。

善悪の区別はついていても、何も出来なかった自分もある意味、偽善者なのかとも思う。

でも、二十代半ばから、何が偽善者なのかわからなくなってきた。

アメリカでは事業に成功した大富豪は福祉などに多額の寄付をする。それが金持ちや名士のする文化になっているから。

彼らの多くは節税のため、あまり税金を払わない、そして世界中の労働者から搾取もする。だけど慈善活動も義務のように行う。福祉をするにあたって、心からの寄付金も偽善の寄付も結果的に人を助けるなら、偽善はもはや偽善ではないのではないか。

そんな事を考えていたら、もう自分が偽善者なのかどうかなど、どうでもよくなってしまった。

偽善者かどうかは、他人が決めるんじゃなくて自分で決めればいい事だ。

しかも、何が偽善なのかも、わからなくなってきた。

学生時代の合コンで私の偽善的な行動で私はトラブルに巻き込まれたことがある

このことについては、近々お話します。

自分が思った通りに、本能のおもむくままに動いた方が楽なんじゃないかとも思う事もある。

我々、公務員って基本は善人じゃないですか。悪(あく)はそういないですよね、でも心の奥の奥までは見えない。皆さんも、大なり小なりの差はあれど偽善者の要素はもっていますよね。我々の大儀は住民の福祉向上であって、そのために働いているわけですから。

民間の利益追求に対して、我々は時として本音と建て前を使い分けている。

やはり、何が偽善なのか、わからなくなってきた。

道に迷った時は団長に聞くのが一番です

団長曰く「そもそも善悪の判断を誰がするんだ。真の善悪の判断は人間には出来ない。

これは神の領域の話である。

善も見方を変えれば自己満足の利己的なものにすぎず、悪も見方を変えると善にもなる。

偽善とは何かを考えることは、無意味である。しかし、無意味なものの中に意味を見出すのも人間ならではある。そこに哲学が生まれるのである。団員諸君、常に己の行動に自問自答しながら生きるべし」

団長に聞いたら、ますますわからなくなってきました。

おっと、いつもの二人組が来ました。

〇田君「良い事は良い、悪い事は悪いって昔から決まってるんだ、団長が簡単な話を難しくこねくり回してるだけだ、俺は善悪の判断なんて聞かれる前からわかってらい」

米〇君「〇田君、世の中はそんなに単純じゃないよ、君は頭が理科系だから全て0か1で考えているんだ。二人でゆっくり語り合おうじゃないか」

二人はきっと仲がいいんでしょうね。

〇田君と米〇くんが誰なのか、いつか団長に話す時もくるでしょう。