ムットン調査団217、職員への賠償請求

各位

この間、N区で起きた事件がマスコミで流れテレビでも放映されていました。この事件、いろいろと考えされます。

事件の内容はN区の職員の夏のボーナスの支給に伴い所得税の税務署への納付が2021年度から3年間、毎年一か月遅れたことが続いたため、税務署から加算税と延滞税あわせて3700万円の支払いがN区に生じ、N区では、その3700万円を職員個人に支払わせるという事でした。

この話は納得がいかない事だらけの事件だと思っています。

この事件の発端はN区の指定金融機関でX銀行(メガバンク)が銀行の業務改善の一環で源泉徴収所得税がシステムに反映されるのが6月30日から7月6日に変更されたことがきっかけとなっています。公務員の夏のボーナス支給は6月30日ですから、このシステム変更が夏のボーナスの源泉所得税の納め方に影響してしまったのです。

一連の流れの中で故意に所得税の納付を遅らせようと思った人は誰もいません。

だったら国税当局はここまで厳しく加算税を取り立てなくても良いじゃないかと思います。しかも2021年から、3年間も気づかなかった国税側にペナルティーはないんですかね。まず一点目は国税に情けはないのかと思います。

次はメガバンクX銀行です、銀行の業務改善がなければ、この事件は起きなかった。指定金融機関ならこのシステム改定で何に影響がでるのかは当然、予想出来たはずです、事件の原因となったX銀行にも責任の一端は少しはあるのではないでしょうか。・・私が勝手に思ってるだけです。

民法上の責任はX銀行には多分ないと思いますが道義的にはあるような気がします

そして、三番目は職員への損害賠償の請求です。N区では現管理職と2021年当時の前管理職の二人に損害賠償の請求をすると言っています。新聞およびテレビでは管理職は大体公務員の賠償責任保険に入っているので、二人が加入している賠償責任保険で賠償すると言っています。

この保険は任意保険ですよ。要は二人に3700万円を払えと言っているわけで、保険に加入しているかどうかは、賠償請求とは何ら関係ないことです。

保険に加入しているから、払えますなんて全く理屈になっていません。

私も1億の公務員賠償責任保険に加入しています、管理職は多分みんな、そのくらいの額の補償の保険に加入していると思います。

でも、もし今回の賠償額が3億だったら、保険からは1億しか出ないので2億は自腹で出すことになるんですよ。

一旦、区が払った金を個人に賠償請求するのは、地方自治法にある故意または重大な過失がある場合です。私はこのケースは職員に悪意はなく故意または重大な過失には多分該当しないと思います。

この理屈がまかり通るとなれば、職員がたまたま間違えて事務的なミスによる損害が発生し区が損害賠償を払った場合には全て、職員個人に賠償が請求されてしまいます。

一般の会社でもこのようなケースで個人に賠償請求をすることは、ないと思います。

銀行で行員が横領をして、その行員からの返済されなかったら支店長が何億も払うことはないと思います。

もちろん、支店長にたいしての懲戒処分はあると思いますが。

役所の中で損害賠償が故意または重大な過失があった時に限定されるのは、そうでなければ普通に仕事をしているだけで高額な支払いの請求が来てしまう恐れがあるからです。

今回のようなケースで全額を職員個人に請求していたら誰も公務員になろうと思わなくなります。

今回N区では懲戒処分は管理職の他に職員にも出すと言っています。懲戒処分はやむを得ないと思います。懲戒処分は担当した職員、決裁した係長、課長あたりですかね。

新聞報道では担当者の上に決裁した係長が二人となっています。懲戒処分は当時の担当者から現在の担当者まで多人数になると思われます。

だとしたら、損害賠償は二人だけに求めて、懲戒処分はもっとたくさんの職員にも出すというのもおかしなものだと思います。なぜなら故意または重大な過失をした職員が損害賠償をするわけで、懲戒処分と連動するのが普通であり管理職2人だけに求めるのは違うと思います。

管理職2人は保険に入っているので、そこから支払いますと記者会見で言っていましたが、保険会社はこの二人だけに全責任があると判断するでしょうか。

保険会社が厳密な査定をするなら、地方自治法が定める故意または重大な過失に該当するか調べるでしょう。このケースで支払った場合、今後も保険での支払いが続く可能性があります。仮に今回のケースで保険が適用になって支払うとなった場合は、決裁をした課長のみに全額を請求する妥当性があるのかも調査するのではないでしょうか。

場合によっては課長の責任は何割くだいから支払いもその割合と同じと判断されるかもしれません。

N区は保険会社が全額支払ってくれると言う確約を得たのでしょうか。

いずれにしても、釈然としないやり方です。

N区の場合は今回の処理は人事あたりで処理していると思われるので、返還もそのあたりの課長に求めるのでしょう。返還しろと言われた課長も、自ら地方自治法の故意または重大な過失には該当しないと声をあげずらい状況なのかもしれません。

N区もあくまで地方自治法に基づき管理職に賠償を求めることを検討していると言っているので、まだ検討中だと思います。

よく検討して故意または重大な過失に該当しないと判断して職員個人に対する賠償請求は取り下げてもらえたらいいなあと思います。

ただし懲戒処分のほうは、担当者、係長、課長と全員にでても、しかたないと思います。

これは、あくまで私の個人的な感想です。

九月中旬に事が発覚して一か月もたたないうちに記者会見で職員個人に3700万を支払ってもらいますは、拙速だと思います。保険に入っていなかったらローンでも組んで払うんでしょうか、こんな大金を払わせるのは酷だと思ってしまうのは同業者ゆえなのですかね。

こんな時は我らが団長に意見を聞くのが一番です。

団長の意見も、ほぼ私と同意見でした。だよねー。