ムットン調査団239(5,須山少年の恋のゆくえ)

三連休も終わり、これで正月気分は完全に吹っ飛びました。

正月休みの間には、高校のいろいろなスポーツの全国大会が開かれていました。

残念ながら我が母校はサッカーは国立競技場で広島国際学園に負け、ラグビーは花園競技場で天理に負けました。ともに一回戦で敗れてしまいましたが、まあ全国大会に出られたので良しとしましょう。

団長も正月はがっかりしたみたいです。1月4日に団長からきたラインの文章をそのまま載せます「高校サッカー静岡学園が初出場校に2回戦負けで今日、埼玉の昌平も青森山田に負けてしまい応援するとろがなくなりました。」やはり団長は、まず静岡愛なんですね、でも埼玉愛もちゃんとあることがわかりました。

でも本当は浜松北がいつの日か、国立競技場に出てくれることを夢見ているんでしょう。

さて、前々回に須山側用人の恋の始まりを書きましたが年末年始になったので団長訓示を優先しました。今回は暮れに投稿した須山側用人の恋の続きです。

各位

須山側用人の若かりし日の恋の行方は、その後どうなったのか?と問い合わせが団長にたくさん届き、団長から事の顛末を早く調査しろと下知が下りました。

団長もせっかちですね。

潜入捜査官Kより追加報告が団長に届きました

Kについても、少しだけ追加の情報提供をします。Kは千葉県の千葉南高校出身、Kが在籍していた頃は県内有数の進学校でしたが、今は並の高校になってしまったと嘆いていました。栄枯盛衰の物語ですね。また、Kは私の昔の部下でもありました。忍耐強くコツコツと誠実に仕事をこなすため、団長のお眼鏡にかなったのでしょう。もちろん決め手は「昨日の敵は明日も敵です」Kの情報はこれ以上だすなと団長から言われています。情報管理は法規に長くいた団長の得意分野なのでまかせましょう。

さて、須山側用人ですが、中学時代に国鉄(現JR)に入ると決めて、多くの鉄道おたく少年が目指した、Ⅰ高校へ進学します。I高校は国鉄の付属高校のような学校で当時、卒業生の多くが国鉄に入り、それ以外の生徒も私鉄にはいるなど鉄道おたくの王道でした。

そんな高校に在籍していた17歳の時、アルバイト先の区役所で須山少年は27歳の美しき区職員に恋をするのです。須山少年の一途な思いは、最初はためらっていた彼女の心を少しづつ変えてゆきます。純粋で無垢な少年の心は、触れたら壊れてしまいそうなガラス細工のようで、尖ったナイフのように周りの者を傷つけ、自分さえも傷つけてしまいそうな激しさがありました。私がいないと少年は生きていないかもしれない、少年の瞳に嘘はない、この人と一緒に夢を見てみよう、たとえ夢がさめてもかまわない。彼女も決意しました。

しかし、年の差もあり周囲は反対します。ただし周囲の反対は逆に当事者を燃え上がらせてしまいます。まさにロミオとジュリエット状態です、身も心も溶けてしまいそうな甘くて、切なくて、激しい感情が二人の魂を揺さぶります。しかし、互いの両親は大反対で二人を別れさせようと説得します。

彼女も一度は少年と歩んで行こうと決めましたが、やはり両親を悲しませたくない。それに須山さんのためには自分は身を引いたほうがいいんだ(古風ですね)彼の夢まで奪ってしまった・・・鉄道マンになる夢

悩みに悩みます、to be or not to be、そして別れを決意します。

ぐっと心を抑えて、彼女は須山少年に言います「今はあなたは私のことが好きでも、もし一緒になってあなたが年をとった時、私はとっくに、おばあちゃん。きっとあなたは後悔するに決まっている。もっと若い娘があなたには似合っている。だから貴方は私の事は忘れて国鉄マンになって、将来可愛い年下のお嬢さんをみつけて結婚して幸せになってちょうだい」と別れ話をする彼女。

須山少年は「俺は君なしでは生きていけないんだ。俺はわかったんだ国鉄マンなんて君にくらべたら取るに足らないちっぽけな夢さ。君がいないと僕はもう駄目なんだ、お願いだ別れないでくれ、絶対に後悔なんてさせない、年下の娘なんて全然興味はない。君だけを見続けるから」 恋は盲目なのか真実の愛なのか。

須山少年は「俺が成人になるまで待ってくれ、俺は国鉄も諦める。君と同じ区役所職員として同じ道を歩きたいんだ」

彼女は少年の一途な思いと情熱に、負けました。この人は本物だこの男こそ私の運命の人だと、気づきました。

少年は自分の両親を説得し、彼女の家にも何度も何度も足を運びます。少年のひたむきさに彼女の両親も根負けします。そして月日がたち、いつしか須山少年は立派な須山青年へと成長しました。もちろん髪はまだ、ふさふさです。

そして4年の月日を乗り越え須山青年21歳の時、決して華美ではなく、むしろ地味だったかもしれないT区立T区民会館で二人は華燭の典を執り行う事になりました。ニューオータニでもなくプリンスホテルでもないけれど、二人の心は世界中の誰よりも華やかで、喜びに満ちていました。永遠の愛を誓った二人は一男一女に恵まれ、死ぬまで幸せに暮らしたとさ。すいません二人ともまだ生きていて健康で元気です。

いやーめでたい話です。以後今日にいたるまで須山側用人は奥様一筋で来られたそうです。

ちなみに須山翁は今でも鉄道が好きです、彼は銀座にある鉄道模型の店でモハとかキハとかいう模型を買うのを友達以上恋人未満の友達に目撃されています。その時に買ったり、売ったり、修理をしたりしていたそうです(10年くらい前だったような気がします)

Kの調査能力に感服です。さすがもと人事にもいたKです。しかし、こんな良さそうな人が犯人なのだろうか。団長は言いました、騙されてはだめだ。小悪は自分たちの横で善人の顔をして、のうのうと生きている。巨悪は諦めろ、しかし決して小悪を眠らせるな!さすが団長ぶれません。