ムットン調査団246、切手の収集

各位

私が小学生の時にクラスの男子の中で流行ったものがいくつかあります。

その中の一つが切手の収集です。小学校の高学年の頃だったと思うんですが切手を集めるのが流行り学校が終わった後とか休みの日に切手屋さんに行き少ない小遣いの中から数円から100円くらいの切手を少しずつ買っていました。切手は専用のスクラップブックにいれて毎日ずっと眺めていました。月に数枚くらいしか増えなかったけど少しずつ増えていく切手を眺めてはワクワクしていました。みんなで切手を買いにいき買った切手をスクラップに入れて友達のスクラップブックをお互いに見せ合ったりしていました。

小遣いが多い金持ちの子供ほど、多くの切手を集めていました。今にして思うと、この趣味は金持ちと庶民との差が露骨にでる何とも嫌味な趣味が流行ったものです。

私は庶民ですからスクラップブックの中は安い切手しか増えませんでした。

あの当時一番高い切手は「見返り美人」という切手だったと記憶している。当時の価格でも数万円してたんじゃないかなあ。欲しかったけど絶対に買えない高値の花、あこがれの切手でした。他にも「写楽」や「月に雁」なども高かったような気がします。

クラスの子たちは金持ちの子供も多かったけど、さすがにこれらの高額切手を持っている奴はいませんでした。

切手屋にいくと、収集家の知らないおじさんが「うちに来て切手を見るかい」と声をかけられることも多く友達と一緒について行くこともたまにありました。

今の時代だと知らないおじさんの家に、ほいほいついていくなんて絶対に駄目なんでしょうね。当時は知らないおじさんだろが、おばさんだろうが何の警戒もしてませんし、また変な人もいませんでしたから。

切手に限っていえば、声をかけてくる人におばさんはいなくて、全ておじさんかお爺さんでした。

こういう人は多分見せたくてしょうがない人なんだと思います。家にあがるとスクラップブックが何十冊も出てきてあの「見返り美人」などの高額切手もたくさんありました。

まじ、すげーと思ったし憧れました。俺も将来、大人になったら自分の稼いだ給料で切手を思い切り買って、いつかはこのおじさんと同じくらい切手を集めるぞと思ったのを覚えています。とにかく目もくらむような切手の数々でした・

今なら女性にとっての宝石とか、金持ち男性の高級腕時計を集めるような感覚だったのかもしれません。

まあ、この感覚は何でもそうですが、はまった人にとっては宝石なんですよ。

切手の収集家は高い切手を一枚ごとに買いますが、新しく発売される切手もたくさん買うんです。なので東海道五十三次とか国立公園などシリーズででる切手を大量に買う人が多いんです。

私達がおじゃました収集家の人達はシートで持っている切手の数がすごかったです。当時ならかなりの価値があったと思います。大人も多分、趣味で集めていたので投資で集めているような人は少なかったと思います。なるほどシートで買うのが良いとわかり私もシート買いを始めました。

これは新たにで国立公園シリーズなどが売りに出されたら発売日に郵便局で並んで買いにいきます。切手一枚が何円だったか忘れましたがシートで買うと数百円になってしまうので新規の切手が出た時は親に特別に小遣いをもらって買いにいきました。郵便局が新規に売り出す切手ですから切手の額面と同じなので損はしません。いざとなれば切手として使ってもそのまま使えます。それよりも子供にみじめな思いをさせないようにしてくれたんですかね。郵便局では愛好家がたくさん並んでいて10シートくらい買う人もたくさんいました。子供は夢中になるのも早いけど飽きるのも早かったんでしょう、いつとはなしに切手を集めるのはやめていました。

切手収集をここでやめて正解でした。私たちはそんな高い切手は買えなかったので集めた切手も安物ばかりか、額面と同じで新規に発行された切手などでしたから。

たまにスクラップブックを開くこともありましたが、新たに追加で買うことはありませんでした。切手の収集を趣味にしていた大人はたくさんいたので、この趣味はなくならないと思っていました。

でも切手の収集を趣味とする愛好家はその後、急速に減っていったみたいです。

私が大人になった時、三十くらの時だったのかなあ、はっきり覚えていないけど、たまたま時間潰しで入ったコインや切手などを売っている店で切手を見ていた時に店の主人に声をかけられたので少し話をしました、自分も子供の頃は切手を集めていたことを言って、現在の切手はいくらくらいで売買されているのかたずねました。すると「今は切手の価値は暴落していて、かなりの切手が額面でしか売れない、見返り美人だって数千円でしか売れない」との事でした。

びっくりしました、そういえば街に切手を売っている店をあまり見ないし切手を収集してるという人も私の周りには誰もいません。

昔、たくさん収集していた人も歳をとって亡くなる人が多く、新たに切手の収集をする人がほとんどいないそうです。需要と供給の関係から言って値段が暴落するのも納得です。

でも世の中の通信手段は電話と郵便だったので切手そのものは、その当時は大量に使っていたんです。

その後、携帯の普及に伴い、手紙やハガキの代わりにメールなどの手段に取って代わっているので切手はそのうち、なくなってしまうんじゃないですかね。

子供の頃に夢中になって集めていた切手だけに、今の現状は寂しいものがあります。

今後、切手の需要はますます減っていくと思います。

どのくらい先かわかりませんが切手など全く使っていない未来においては貴重な過去の文化財として高値で取引されているかもしれませんよ。

その時まで皆さんが生きている自身があるなら切手を買うことをお薦めします、そのためには不老不死の薬を先に手に入れる必要がありますので、あしからず。