ムットン調査団251、無料で食事を家に作りにくる

各位

私の身近で起こった詐欺的な話はまだ、たくさんあります。

今回の話は30年くらい前の話です。

この詐欺的な商法は最初にまず家に電話がかかってきます。話の内容は家でたくさんの料理を無料で作ってくれて、後は好きに食べていいという話です。

この無料で料理を作ってくれる商法も昔、結構流行って問題になりました。高級な食材で美味しい料理を無料で沢山作ってくれるという話で、後でアンケートを聞くだけです、みたいな話だったと思います。

当時、私はたまたま新聞を読んでこの詐欺については知っていました。

結構、この食事をただで作りますという詐欺が流行っていて被害がそれなりに出ているので注意喚起を促す記事でした。

この詐欺の手口ですが、まず電話がかかってきてアンケートで少し話が聞きたいとか言って、料理に興味があるかとか、好きな食べ物を教えてくれとか、いろいろ聞かれます。

いろいろ好きな食べ物とかを教えるとその料理をただで作ってあげるという話になってきます。そして、料理を作りに家にきてもらうことにすると、5人くらいの人が来てたくさんの美味しそうな料理が食卓に並ぶそうです。この料理がすでに作ってあったものだったか、その家で作るのかは覚えていません。

料理の内容もかなり高級な食材だったと記憶しています。

料理が並び食事をした後で、その業者が牙をむいてきます。

食事の提供は確かに無料なんですが、その時に使用した大量の食器を買い取ってもらうという話を、その業者がしてくるそうです。

ただで美味しい料理をたらふく食べた後に、この話を切り出されると、人間心理として、これだけご馳走になったのだから食器くらいは買い取ってもいいかなと思うそうです、それに食器はあっても困らないし。

ここで、言葉たくみに食器を買うことに合意してしまうと、さあ大変です。食器代は何十万円もするそうです。

家の中に多くの業者の人を入れてしまったから多勢に無勢です。

この状態になってしまうと一人ではとても戦えません。

結局嫌々、契約書にサインして高額な食器を買わされるという話です。

ふーん、いろいろな詐欺があるもんだと感心していたんです。

その二日後くらいだったと思います。母から私に電話がかかってきて「食事を無料で作ってくれるという電話が今あったので承諾したんだが、どう思うか」という話でした。

詳しく聞くと、まさに私が新聞で読んだ内容とぴったり一致しました

私は母に「それは今、流行っている詐欺で家の中に入れたら最後、高額な金額で食器を買わされてしまうから、すぐに断わらないと大変だよ」と言いました。

母はその話を聞いて、かなり慌てていました。まだ家に何時に来るかは決めていないので、もう一回電話がかかってくることになっていたそうです。その時に断ると言っていました。

私はとにかく相手は詐欺集団だから絶対に家に入れては駄目だと言うことと、電話で必ずその話を断ることを何度も念を押しました。

まさか、読んだばかりの詐欺まがいのことが、自分の母親に起こるとはびっくりしました。

そんな電話をもらったら、その後、どうなったか心配ですよね。

夕方、以降実家に電話しても誰も出ません。

携帯電話のない時代ですから連絡方法は家にある固定電話だけです。

何度もかけて夜遅くにやっと電話にでました。

私は「何で電話に出なかったの」と聞いたところ

母は「私と電話をした後で怖くなったので、電話に出るのをやめたそうです。電話に出なければ時間が決まらないから相手は来ないだろうと思った、その後で家に訪ねてくる人がいても一切出ないで居留守を使うことにしたそうです」

実際、何度も電話がかかってきたし、家にも訪ねて来たみたいです。

と言うことは、仕事が終わって帰ってきた父親も一緒に息をひそめていたということだったんですかね。この辺の記憶は少し曖昧です。

いずれにしても、居留守作戦は成功したみたいで、翌日から電話はかかってこなかったそうです。

あの当時、私は業者から電話がかかってきた時にしっかりと断ればいいと思ったんですが、今思うと母親の行動は正解だったと思います。

母はただ怖くなって、もう電話にでるのも嫌で居留守を決め込んだわけですが、結果は正解だったんです。

もし、あの時電話にでて、やっぱりやめますと断りをいれても・もう食材は全部用意してあるから、その分の損害賠償を払えとか、いろいろ言ってきたでしょう。相手は百戦錬磨の詐欺集団なんですから、母親のかなう相手じゃなかったんです。

そのへんを母も本能的に察知して居留守が最善の選択だということになったんでしょう。

この事件はたまたま、母に電話がかかってくる二日前にそういう、無料で食事を作る詐欺のようなことが流行っていると新聞で知ったので止められましたが、知らなかったら良い話じゃないかと薦めていたかもしれません。

間一髪、間に合ったという話です。